健康:科学ニュースの森
適度な運動は身体にも精神にもとてもよい影響を与えると考えられている。例えば身体的には脂肪を燃やすことによって、肥満や糖尿病だけではなく癌を含む様々な疾患に効果がある。では、なぜそのような効果が表れるのだろうか。
要約:
現在先進国を中心に、肥満や糖尿病を含む生活習慣病の増加が問題になっている。食生活の変化に加え、運動不足も大きな問題であると考えられ、適度な運動は様々な疾患を予防すると考えられている。しかしそれが何故なのかは分かっていなかった。
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そこでダナ・ファーバー癌研究所のBruce Spiegelman博士らによって、運動によって特定のホルモンが増加し、それが脂肪を燃焼させる役割を持っていることが分かった。このホルモンはイリシン (Irisin)と名づけられ、肥満や糖尿病のみならず癌を含むほかの様々な疾患の、予防や治療に使うことができるようになるだろうという。
脂肪細胞には、脂肪を貯めるための白色脂肪細胞と、燃焼させるための褐色脂肪細胞の2種類がある。褐色脂肪細胞は乳幼児に多く見られ、大きなエネルギーを生み出す元になっているが、大人には殆ど存在せず、白色脂肪細胞として貯まっていくだけとなってしまう。
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運動によって生成されるイリシンには、その白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変える遺伝子を活性化させる働きがあるようだ。また脂肪を燃焼させることで、糖尿病の原因となる糖分への耐性も増加した。
運動によるイリシンの生成だけでなく、その摂取が健康に有用であるのかを調べるために、マウスを使った動物実験が行われた。肥満を患い糖尿病にかかりそうなマウスにイリシンを注入したところ、10日後には血中の糖分とインスリンの量が改善し、体重も僅かながら減少した。
Spiegelman博士によると、この実験は短期間で行われたため、長期に渡りイリシンを摂ることでもっと大きな効果を得られるようになるだろうという。また注入されたイリシンは運動によって生成される量と変わらなかったため、彼らの予想通りに副作用や毒性は表れなかった。
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マウスとヒトの体内で現れるイリシンの構造は同一であるため、イリシンを元にした薬の臨床試験は2年以内には行うことができるだろうという。また、イリシンの脂肪細胞に対する効果は、全体的な効果のほんの一部であると考えられるため、彼らはその詳細を煮詰めるため研究を続けていくようだ。
元記事:
Boost for Health? Researchers Isolate Protein Linking Exercise to Health Benefits
参照:
Pontus Boström, Jun Wu, Mark P. Jedrychowski, Anisha Korde, Li Ye, James C. Lo, Kyle A. Rasbach, Elisabeth Almer Boström, Jang Hyun Choi, Jonathan Z. Long, Shingo Kajimura, Maria Cristina Zingaretti, Birgitte F. Vind, Hua Tu, Saverio Cinti, Kurt Højlund, Steven P. Gygi, Bruce M. Spiegelman. A PGC1-α-dependent myokine that drives brown-fat-like development of white fat and thermogenesis. Nature, 2012; DOI: 10.1038/nature10777
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